コントロールを考える⑭:イゼット

(サブタイトル:【コントロールで勝ちたい】)


 さて、今回は「『グリクシス』最終形態」についてお話する予定でしたが・・・

 試行錯誤を繰り返した果てに、辿り着いたのは【イゼット】でした。


 1月期には完成していたデッキになりますので、「霊気紛争」のカードは1枚も入っておりません。しかしながら、現在でも全く問題なく戦うことはできますし、私自身が最も愛用しているデッキですので、「なぜイゼットになったのか?」も含め、ご紹介させて頂きます(*_ _)


 それでは、早速始めて参りましょう。



◆ 経緯


 まずは『イゼット』への移行経緯から。


■ 「黒の必要性?」

 『グリクシス』として黒を使う理由が《骨読み》《光輝の炎》とPWだったのですが、そもそも真に代えの利かないカードはPWだけ、そのためだけにわざわざ窮屈なマナベースを構成する意味があるのかが疑問でした。ただ、当時は環境にアグロの多い「MDのコントロールには全体除去(《光輝の炎》か《衰滅》)は必要不可欠」だと思い込んでいました。。。



■ 「全体除去の必要性?」

 転機は【青単パーミッション】と【エルドラージコントロール】の実戦です。

 どちらも全体除去が使えないカラーリングだったのですが、結果は予想を上方修正される100戦6割以上の勝率。この形でそのラインまで勝てるということは、黒を外して全体除去をなくしてしまってもイケるはず…《電招の塔》と射程が2点とはいえ《コジレックの帰還》がありますので、一応面を受けられないこともありません。


 そこから実際にテストしてみると好感触。

 《光輝の炎》がなくとも問題なくアグロに対処することができましたし、むしろできるだけメインでマナを使いたくないコントロールにとっては、「インスタントの《コジレックの帰還》のほうが適しているのでは?」とも思え、折しも当時MTGでは『青赤コントロール』(『ティムール《電塔》』の原型)が台頭してきておりましたので、そちらも参考にしつつ・・・


 完成したのがこちらのリストになります(*-ω-)



◆ DECK LIST



◆ 「特徴」


 『エスパー』との差別化=存在意義の部分ですね。


■ 「マナベースが緩やか」

 当たり前の話ですが、3色より2色のほうがマナベースに負担をかけません。

 『エスパー』や『グリクシス』のように3色を使うデッキですと《燻る湿地》や《窪み渓谷》などの特殊土地を使わざるを得ません。しかし、黒をカットした2色であればそういったタップインランドを使う必要がなくなりますので、テンポロスや3ターン目に(青)(青)を出せない、といった色事故のリスクを軽減することができます。



■ 「スペルが軽い」

 全体を通して『イゼット』のスペルは1段階軽いです。

 「コストが軽い=アグロにテンポ負けしない」ですね。『グリクシス』が持つ《無許可の分解》や『エスパー』のPW達は強力なカードですが、アグロに対しては1マナで対処できる《焦熱の衝動》や3マナの《電招の塔》のほうが頼りになることが多いでしょう。特に、現在では《致命的な一押し》があるとはいえ、対象範囲を絞らない3点火力《焦熱の衝動》は優秀です。



■ 「《屑鉄場のたかり屋》に強い」

 『エスパー』ですと概ね(できれば打ちたくない)《苦渋の破棄》で処理することになるのですが、《電招の塔》《粗暴な排除》に《手酷い失敗》《呪文萎れ》の打ち消しも合わせると計7枚対処できるカードがありますので、青の天敵《屑鉄場のたかり屋》をそこまで苦にしません。



◆ カード選択


 続きまして、何枚か抜粋して選択理由を。


・《輪の信奉者》

φ(-_@) :「教祖《輪信》様」


 《炎呼び、チャンドラ》と最後まで枠を争った1枚。

 どちらも甲乙付け難いフィニッシャーではありますが、《チャンドラ》は「速く勝つことを目的とする」のに対し、《輪信》は「遅くなればなるほど強い」カードです。後述致しますが、今回は遅いゲームプランを目指しましたのでこちらに決定。マナさえあれば「MD界で最もやられにくいフィニッシャー」、終盤の絶対君主として信頼度は絶大です。



・《手酷い失敗》×2

 【青単】【エルドラ】両コントロールの実戦結果から採用。

 主な仕事は「対アグロの第2ターンの受け」になります。相手が先手の場合は(通常2マナのカウンターは予想しませんので)奇襲効果も期待できますし、追放&射程4マナは2マナのスペルにしては十分でしょう。《屑鉄場のたかり屋》や《難題の予見者》を打ち消すことができればCool。



・《呪文萎れ》×1

 追加の3マナカウンター。

 後手3ターン目=相手4ターン目は「PWのマナ域」になりますので、きっちりカウンターを用意しておく必要があります。《風への散乱》《集中破り》の5枚だと確率的に若干心許なかったので6枚目としてカウント、+もう1つ駆け引きとしての理由があるのですが・・・それはまた次の機会にお話しします。



・《比較分析》&《粗暴な排除》各×2

 この2枚は以前にもご紹介しましたね。

 《比較分析》は《天才の片鱗》の穴をしっかりと埋めてくれますし、《粗暴な排除》は所謂何でもできる系+現在のメタゲームスキル。特に変な癖もない《比較分析》は、4枚目の《天才の片鱗》として素直にオススメしたい1枚。



・《疑惑の裏付け》×2

φ(-_@) :「別名:ハートブレイクカウンター」

 

 乱暴に言えば《奔流の機械巨人》の2・3枚目、丁寧に申し上げるのであれば「《天才の片鱗》と《奔流の機械巨人》を2で割った2・3枚目」です(マナコストも丁度中間の5マナですね)。投入理由としては「必勝型」の追加。


・4ターン目の《天才の片鱗》

・6ターン目の《奔流の機械巨人》


 この何れか、あるいは両方をクリアすることが青の勝ち筋なのですが、このカードがあればさらに「5ターン目の《疑惑の裏付け》」というパターンを狙うことができます。PWなどの大物を釣り上げられれば大体勝ち、次のターンに「2マナで手掛かりを生贄に捧げつつ3マナカウンター構え」のアクションが保証されているのも〇。


 2枚は重いと思っていたのですが、MTGのコントロールデッキが3~4枚の《奔流の機械巨人》を採用している現状、だったらサポートできないわけがなく、実際投入してみても問題ありませんでした。ちなみに「イニストラード」期のマイフェイバリットです(。-∀-)b



・《分散》×2

φ(-_@) :「用心棒《分散》先生」


・機体・クリーチャーを戻す(対アグロ)

・PWを戻す(対ミッドレンジ・コントロール)

・《奔流の機械巨人》を戻す(対自分)


 などなど。バウンスは玄人受けしないカードではありますが、如何なる相手に対しても無駄になることはありません。メタゲームが混沌としており、何が出てくるかわからないMDでは打ち漏らす自信しかありませんので、「最悪バウンスすればいい」保険に加盟。


 特に後手番の「3T《スフィンクスの後見》or《最後の望み、リリアナ》」は何か善後策を仕込んでおかないとそれだけで負けてしまいますので、「私的コントロールのマストカード」。《苦渋の破棄》を使えるカラーリングでも1枚、使えないなら2枚まで採用したいですね。



◆ 解説


 それでは、少しデッキコンセプトと動きを解説致しましょう。


■ 「ヘビーコントロールである」

  冒頭、このデッキは所謂【メガパーミッション】デッキです。

 スペルが軽いので速そうに見えますし、実際速くプレイすることもできると思いますが、意図しているところは【相手の行動を全部否定して守り勝つ】です。そのために限定的・一時的なものまで合わせれば「12枚のカウンター」と《時間の把握》を省いても「6枚のドロー」を搭載しています。


【勝ち筋】 

・《電招の塔》(50%)

・《秘密の解明者、ジェイス》(25%)

・《輪の信奉者》(15%)

・《奔流の機械巨人》(5%)

・《さまよう噴気孔》(5%)

・(及びその複合)


 主な勝ち筋は上記の通り。

 基本的には《電招の塔》で感電させるか《ジェイス》のドローアドバンテージで押し潰すことになります。《輪の信奉者》は(余裕があれば)10マナぐらい溜まらないとキャストしませんし、《さまよう噴気孔》をクリーチャー化するのも最後の最後です。


 数字通り《電招の塔》にも依存しません。

 このカードの投入理由は、フィニッシャーというよりも「クリーチャーとPWを打ち消す必要がなる」=「それ以外だけをカウンターすれば良くなるから」というものになります。ですので、引けなかった時は普通の『イゼットコントロール」として立ち回ります。


 注意点は《奔流の機械巨人》の取り扱い。

 MDでの青系コントロール全てに言えることなのですが、このカードは「フィニッシャーではありません」。MTGとは違い1枚しか投入できないため次号機を繰り出すことができず、《無許可の分解》・霊気の溜まった《蓄霊稲妻》等々、中盤以降にただ1枚のクリーチャーを対処できないデッキはまず存在しません。ほぼ余った除去を差し向けられることになりますので、主に《天才の片鱗》や《カウンター》のアドバンテージエンジンとして捉えておきましょう。



■ 「対コントロール」

 『グリクシス』の課題でありました「コントロール同型戦」について。

 コントロール同型はほぼ間違いなくPWを巡る攻防になりますが、『イゼット』を選択したことによりさらにPWが減ってしまいました。ですので相変わらず不利に見えるかもしれませんが、前述の通り通常のコントロールより多い「カウンターとドロー」に加え、いくつかのカードの存在により、十分互角以上に戦えると感じています。


 鍵を握るのは以下の3枚。

 まずは《分散》。

 『エスパー』の《苦渋の破棄》についていくためのカードですが、実質ケアするのが難しい2マナであることも重要で、「メインで2マナだけを残し全力で《ジェイス》を通す⇒返しに出てきた相手PWをターンエンドに《分散》してマウント」などの仕掛けを打つことができます。ここぞという時に使いましょう。


 次に《疑惑の裏付け》。

 どこかでぶつけることができれば俄然有利になります。手札に《分散》があるならば、「相手がターンエンドに打ってきた《天才の片鱗》に《疑惑の裏付け》をぶつける」といったプレイも肯定されます。出て来なければ優位を確立、返しにPWを出されても《分散》で戻せばOK。


 そして《輪の信奉者》。

 コントロール対決ではまさしく神、別格のカード。通してしまえばPWどころの騒ぎではなく、マナが起きればそのゲームは終わったようなもの、十中八九勝つことができますので、手札にある時は全てのカードを囮に使ってでも通しにいきましょう。 



◆ ANOTHER


 最後に微調整と他候補を。


■ 「土地の配分」

 タップインランドの《高地の湖》ですね。

 始めに「《進化する未開地》がない分3枚ぐらいは許容範囲だろう」というテキトーな理由で投入し、特に大きな問題もなかったのでそのままにしていたのですが、たまに4ターン目や5ターン目のタップインが気になることがありますので、1~2枚減らしてみても良いかもしれません。



■ 「《炎呼び、チャンドラ》」

 どうしても枠を見つけられなかったカード。

 全ての能力が素晴らしく、組手実戦を通しても“最凶“の名を欲しいままにするパワフルガールなのですが、彼女不在のデッキの動きに満足してしまい、投入することなく現在に至っております。

 

 皆さんならどのカードと入れ替えますか(*・ω.)?


 今回は以上になります。

 「霊気紛争」後も引き続き使用できると思いますので、是非1度プレイしてみて下さい。

 最後までご覧頂きありがとうございました(*_ _)


百人組手の人

2コメント

  • 1000 / 1000

  • 道場主

    2017.04.15 17:00

    遅くなりまして(*_ _) いつの間にか『イゼット』になっていました(。-∀-) 2色ですのでマナ関係がほぼストレスフリーなのは〇ですね。 >《先駆ける者、ナヒリ》 彼女は全ての能力がコントロールに合っていますね。 「4マナ」「忠誠度+2」も素晴らしいですし、白をプラスする理由になるでしょう。 除去に関しては、私は《焦熱の衝動》愛好家ですね(軽いは正義!)。 『ジェスカイ』は以前取り上げたのですが、「アモンケット」後に機会があればまたやってみましょうか。 前回はPW中心でしたので、次回はスペル中心(軽量化!)で構築したいと思います。 >《輪の信奉者》 往年の青の定番フィニッシャーですね。 「イゼットですと他に信頼できるカードがない」のが実際のところですが(。-∀-); PWが増えた現在では見かけることも少なくなりましたが、実力は確かです。 >《炎呼び、チャンドラ》 少しプレイしてみたのですが、やはり重さが気になるところ…。 大振りになってしまうので、隙が生じるのを覚悟してキャストする必要があります。 やはりコンセプト・プレイスタイルともに合わないという印象でした。 《コジレックの帰還》は懐刀です(。-∀-) アグロの大多数はこのカード1枚で一掃できますので(しかもエンドに)。 ではでは、コメントありがとうございました!
  • シミ

    2017.04.14 12:17

    青赤とはいい趣味ですねぇ 私は白を足してジェスカイカラーでやってます 土地事故の危険はそれなりに・・・ メリットとしては《神聖な協力》が便利なこととやはり《先駆ける者、ナヒリ》ですかね +2のルーティングも-2の追放も便利ですし何より-8がとても楽しいので 青ハルクを呼ぶのは端的に言って詐欺ですし 何気に《電招の塔》もサーチできますし(エンドに手札に入るけど) 最近はサーチ先として《ヴリンの神童、ジェイス》を追加してみたり・・・ かなりの勢いで除去が飛んできますけど、土地は立ってるので守れなくはなく結構通ります 神童ジェイスを通すのに《神聖な協力》のアンタップモードという中々他で見ない小技があるのもポイント 記事の話に戻しますと 《輪の信奉者》はいいですね 前はメインデッキで使ってたのに忘れてました・・・ 最近はナヒリからシュートするためにCIPばっか見てましたけど フルタップした相手を全力パンプで意識外から殴り殺せたら楽しそう 普通に出してもフィニッシャーなのは変わりませんしね チャンドラ入れるのに抜くカードは・・・私は《コジレックの帰還》でしょうか どうにも、この構成で必要になることは少なそうな気がします