メタゲーム分析(AKH)


 デッキ作成に行き詰っていることもあり、今回は久方ぶりに【メタゲーム分析】でも。

 私の環境理解を大雑把に言ってしまえば、現環境は・・・


φ(-_@) :「アグロとコントロールの2強」


 「高速アグロか、もしくはその対極に位置する低速コントロールか」という2択環境で、フェア系のミッドレンジは大苦戦。「ミッドレンジの攻防こそマジックの醍醐味」と考える身からすれば、正直なところあまり良い状態ではないと思っているのですが、以下もう少し詳しく私論をお話していきます。



◆ アグロの攻勢


 堂々トップメタに君臨するのはアグロです。


 「アモンケット」から《木端+微塵》《嘲笑+負傷》などの前のめりなカードを獲得しましたが、アグロを今の地位に押し上げている大きな要因は、やはり「カラデシュ」の機体と強力無比なPWでしょう。


 機体はマナコストに比べてサイズが大きいものが多く、戦場に出ているだけで後続クリーチャーを速攻付の弾頭として使えるようになるまさにアグロ向けのカードで、PWは1枚でゲームを決められるだけの力を持っていますが、どちらも「全体除去耐性がある」点がアグロ戦略を強力にバックアップしています。

 

 これにより、従来であれば天敵であるはずの全体除去を乗り越えることが可能になり、「《光輝の炎》をすり抜けた《密輸人の回転翼機》が延々攻撃し続ける」「《衰滅》の返しに出てきた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がそのままゲームを決める」などはもはや見慣れた光景になりました。


 アグロの代表格『マルドゥ機体』を例に挙げれば、「1マナ2点&2マナ3点以上のクリーチャー」・「4枚以上の機体」・「4枚程度のPW」が標準装備になっているので、受ける側としては「クリーチャー」「機体」「PW」の異なる3種(毎回書くのも面倒なので、便宜上「三種の神器」とでも呼称しましょうか)に対処しなければならず、受け切ることが非常に困難になっています。


 ここで重要なのは、「受ける側は全てに対処できる必要があるが、攻める側は全てを引く必要がない」という点です。


 受け手にとってはどれか1種でも受けられないと負けてしまうので、それぞれに対処カードを用意する必要があるのですが、攻め手にとっては機体やPWを引かずとも、基本となるクリーチャービートを相手が受けられなかった時点で、他のカードの有無に関わらずゲームの勝利が確定します。


 「クリーチャーを適当に、あとはオマケ程度に機体とPWを少々」。

 雑に組んだアグロデッキでも結構簡単に勝ててしまうのは、構造的にアグロが優位に立っているからに他ならず、多種多様なデッキが存在する言わばMTGモダンのようなMD環境では、「自分のやりたいことを追求する」アプローチは環境的にも理に適っていると言えるでしょう。



● アグロ分布

・Tier1:『白黒赤機体』『黒緑グロウ』『黒赤吸血鬼』

・Tier2:『人間』『ゾンビ』


 格付けの基準としては「除去耐性があるか」「リカバリー手段があるか」で、「三種の神器」を満遍なく搭載できる『マルドゥ機体』が安定の1番手。加えて、サイズと呪禁で対抗しうる『黒緑グロウ』、安定感にやや難があるものの『本体火力モード』に移行できる『黒赤吸血鬼』、ここまでがTier1。


 ほとんど真っ正直なクリーチャービートで 、数枚の単体除去か全体除去1枚で大きく足を止められてしまいがちな『人間』『ゾンビ』はどこまでいってもTier2までという印象。他、『黒単』『赤単』『緑単』といった単色ビートダウンの存在ももちろん認識はしているのですが、対戦頻度が低くその実力は未知数といったところです。



◆ コントロールの隆盛


 アグロの攻勢に対し、コントロールも負けていません。


 「アモンケット」から《検閲》《明日からの引き寄せ》《暗記+予期》といった数々の優良スペルを獲得、アグロの覇権に待ったをかけるだけのデッキポテンシャルは十分に有しており、その要因はデッキ構成とカウンターです。


 コントロールを構成するパーツは「大量の除去」「適量のカウンターとドロー」「少量のフィニッシャー」になりますが、そもそも構想段階でアグロを強烈に意識していることもあり、アグロに対しては「ひたすら除去を連打しているだけで相手が勝手に息切れする(=自動的にゲームに勝てる)」という真逆のオールインプランで対抗することができます。


 また、「三種の神器」を振りかざしながら攻め立ててくるアグロに対して、クリーチャー以外をガッチリ受け止めるのがカウンター。その他のデッキに対しても、何が出てくるかわからない広大な環境で「1枚で何にでも対処できる」というのは非常に大きく、コントロールが単なるアグロメタのデッキで終わらないのも「カウンターの存在」、この1点に尽きるでしょう。


 「クリーチャーには除去で」。

 「それ以外にはカウンターで」。

 これが、コントロールをメタゲームの一角足らしめている理由です。


 

● コントロール分布

・Tier1:『青赤』

・Tier2:『青黒赤』『白青黒』


 「三種の神器」を受けなければならない以上、その全てに1枚で対処できる《電招の塔》を最も効果的に運用できる『イゼット』が1番手に来るのは自明の理。「コラム:コントロールを考える」が全く更新されないのは、(別にサボっているわけではなく)「『イゼット』以上のコントロール、ないし『イゼット』と差別化できるコントロールをつくれていないから」です。


 『グリクシス』『エスパー』は「コントロールに強いコントロール」で、特にPW1枚の攻防になりやすい同型において、除去と回収を同時に行うことができる《闇の暗示》はキラーカード。しかしながら、3色というマナベースと全体的なコストの重さから、総合的な安定感では『イゼット』に軍配が上がるという印象。



◆ ミッドレンジの不遇


 対して、アグロとコントロールに挟まれる格好のミッドレンジは苦しい立ち位置です。


■φ(-_@) 「デッキ構築の歪み」

 まず、「三種の神器」に対抗しなければならない必要性から、ミッドレンジは「歪んだ構築」を余儀なくされています。


 顕著なのが《再利用の賢者》と《不帰+回帰》。

 それぞれ「機体」「PW」に対処するカード(必要悪)ですが、丸い受けを可能にする反面、同等のカードよりはやや弱くデザインされており、これらのカードを採用せざるを得ないためにデッキ―パワーの低下を余儀なくされています。


 さらに、パーミッションコントロールのように万能の打ち消し呪文を持たず、相手の脅威に対して的確にリアクションカードを引かないとならないために手札への要求も高いものになるのですが、その歪んだ構造が「クリーチャービートに対して《再利用の賢者》を引いてしまった」「機体に対して《不帰+回帰》を引いてしまった」などのミスマッチを起こしやすくしています。

 

● 余談(1)

 《俗物の放棄》《造反者の解放》のサイクリングスペル2種が収録されなかったのは残念でしたね。これらのカードがあれば、もう少し丸く機体を対処することができたのですが‥‥(-ω-●)


● 余談(2)

 《不帰+回帰》はかなり評価を下げているカードです。

 PWを対処できるとはいえ半分以上はクリーチャーに打っている気がしますし、PWを対象にしたとしても1回は能力を使われますのでアド1損、メインで打たなければならないのでテンポ0.5損、一応余波《回帰》でゾンビを出せますが、所詮4マナ2/2クリーチャーですのでアドバンテージを取り返しているとまでは言い難く、ほとんど打つたびに損をするようなカードです。


 そこまでしてでも対処したいほどの力を持っているのがPWなのですが・・・『黒単ゾンビ』の調整過程では、「PWより機体で負けるほうが遥かに多かった」という理由から、このカードより《殺害》を優先すべきという意見も出ていました。まぁ、それでも1枚で負けるよりはマシという理由から入れることになるのでしょうが…。



■φ(-_@) 「二方面戦略の難しさ」

 さらに、ミッドレンジを苦しめているのは「二方面戦略の必要性」。

 メタゲーム上の7割を占める(アグロ5割・コントロール2割)2つのデッキタイプに勝てる構築を考えなければならないのがミッドレンジなわけですが、その両者が対極に位置するが故に、構築は困難を極めています。


 簡単に言ってしまえば、「アグロを意識するとコントロールに勝てない」ですね。

 満足できるアグロ耐性をつけるとなると「単体・全体合わせて10枚程度の除去・数枚の機体対策・+できればライフゲイン」のような構成になるのですが、それらはコントロール相手にはほとんど無駄なカードになりますので、対コントロール戦は「不要な除去を大量に抱えながら、数少ないマストカウンタ―だけを打ち消され悶絶する」というフラストレーションゲームになってしまうのです。


 除去とライフゲインを満載した『マルドゥミッドレンジ』が典型例で、アグロにはかなり相性の良いデッキタイプになのですが、有効カードが数枚のPWぐらいしか存在しない対コントロール戦は絶望的なマッチアップ、それ故か野良戦でもほとんど見かけません。


 つまるところ、アグロ・コントロールの双方に勝つためには「アグロに速度負けしない瞬発力」「コントロールに力負けしない体力」を構造的に用意する必要があるのですが、そんなものが易々と手に入るわけがなく・・・


(。-∀-):「青を使わないアグロ」

φ(-_@) :「青を使ったコントロール」


 現状での私の理解は、勝つためにはこの2択。

 ここから先へ踏み出せないでいます。



◆ ランプの逆襲?


 最後に希望でも書いておきますか。


 《驚天+動地》《開拓+精神》《ルクサの恵み》《自然に使える者、ニッサ》など、ランプが「アモンケット」から得たものは多く、これらのカードを用いたランプデッキに光明がある…かもしれません。


 「コントロールに不利」と言われるランプですが、「毎ターンマストカウンタ―を叩きつける」「豊富なマナからアクション差をつける」などの方法でカウンターを掻い潜ることができるため、実はそこまで圧倒的に不利というわけではありません。


 つまり、「コントロールに力負けしない体力」の部分は満たしているわけで、あとは何とかアグロの速度に追いつけるような構築を見いだせれば、といったところになりますでしょうか。


 今回は以上になります。

 最後までご覧頂きありがとうございました(*_ _)


百人組手の人

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