さて、今回は先日のフライデーから2週間程…になりますでしょうか?
調整過程も含め、【ゾンビ】デッキのまとめを行いたいと思います。
まずは、MTGプロツアーで活躍したリストを見ていきましょうか。
◆ 黒単ゾンビ(MTG)
こちらがプロツアー「アモンケット」優勝の『黒単ゾンビ』。
「1マナ8枚・2マナ8枚・3マナ8枚」という綺麗なクリーチャーマナカーブが特徴の1つなのですが、MDではそもそも収録されていなかったり、枚数制限があるカードばかりですので、足りないパーツをどのように埋めるのかがポイントになります。
◆ 白黒ゾンビ(MTG)
対して、こちらはスイスラウンド1位の『白黒ゾンビ』。
《むら気な召使い》《束縛のミイラ》という2種類の2マナゾンビがMDでも現役ですので、こちらのほうが再現性は高いように見えます。
しかしながら、黒単・白黒と2種類のゾンビデッキが存在する以上、「MDではどちらが最適解なのか?」という点も含めて検討しなければなりません=両方つくってみる必要があるというわけで・・・
こちらが『黒単ゾンビ』(百人組手仕様)。
「1マナ8枚:2マナ8枚・3マナ7枚」(但し2マナ域に《屑鉄場のたかり屋》と《密輸人の回転翼機》を換算して)という、頑張って合わせてみたリストです。
ギリギリ及第点のゾンビその①。
1マナ1/1はいかにも貧弱といった感じですが、《密輸人の回転翼機》に乗り込んだり《疫病吹き》にころされるといった役割もありますし、アグロ相手には強いカードですのでマナカーブを埋める分には悪くはないファーストアクション。
ギリギリ及第点のゾンビその②。
双方手札を1枚捨てることになりますが、こちらには4枚程捨てても回収できるカードが入っており、遅いデッキ相手には除去を捨てればよく、さらにほとんど弱いカードで構成されているため捨てるカードには困らないという嬉しいのか悲しいのかよくわからない理由で基本損はしない印象。
ゾンビにしては珍しくやる気満々のビースト。
3マナ5点クロックはさすがに強烈で4回殴れば人がしぬ、唯一単体でも文句なしに強いと言っていいゾンビで、《戦慄の放浪者》《屑鉄場のたかり屋》《ただれたミイラ》などマイナスカウンターの押し付け先も多いため、3マナ域をガッチリ埋めてくれます。投入後すぐに上限2枚固定となりました。
《リリアナの支配》の3枚目。
(タップインなのが本当に残念ですが)一応トークンは3体は出ますので全体除去へのリカバリーになり、地味にライフゲイン3点もついています。とはいえ致し方なしという感じは否めず、ないよりはマシという程度。
以上が黒単の最終型。
ここに至るまでの紆余曲折・艱難辛苦を全て飛ばしてご紹介したわけですが・・・
やはり、最後まで気になったのは「2マナ域の不足」です。
《金属ミミック》《無情な死者》がロード+リカバリーを担当している枠が、ゾンビとは何の関係もない《屑鉄場のたかり屋》《密輸人の回転翼機》と概ねただの2/2に過ぎない《瘴気ミイラ》にすり替わっているのですからカードパワーの低下は当然。「どこまでいっても『黒単アグロ』の劣化過ぎない」という意見とともに、見切りをつけることになりました。
というわけで、こちらが『黒白ゾンビ』(百人組手仕様)。
白黒の場合は2マナゾンビには困らず、万能除去である《苦渋の破棄》を投入できるというのが長所になりますが、結局のところ弱いゾンビを採用しなければゾンビの数が足りない点は変わらず、それに精一杯抵抗しつつゾンビシナジーを重視して差別化をはかってみたリスト。
ポイントは《ギサの召集》。
ゾンビデッキのジレンマとして、「《リリアナの支配》のために入れたくもない土地を増やす必要がある」=4マナ域だけがぽっかり空いてしまうというものがあるのですが、このカードは空いた4マナをピタリと埋めてくれます。
トークン×2は合計6枚投入されている《束縛のミイラ》《むら気な召使い》を多段誘発させ、5マナに控えている《リリアナの支配》への繋ぎとしても十分、と書けば良さそうに聞こえるのですが、カードパワー自体は採用ギリギリ(というか怪しい)という域を出ず。
何(十)戦と戯れてみたものの、「プロツアー最強」という前評判通りの戦果を得るには至らず、ゾンビデッキが持つ共通の弱点が浮き彫りになります。
◆ ゾンビの弱点
■ ①φ(-_@) :「単体カードパワーが低い」
特に黒単で顕著な問題。
MDの場合どうしても弱いゾンビを採用せざるを得ません。また、白黒にしても2種類の2マナゾンビはシナジーがなければ所詮は2/2バニラに過ぎないため、各個撃破に非常に弱く、鍵となる数枚のゾンビを除去されただけで途端に突破できなくなってしまいます。
「シナジーがあり個々でも強い」『マルドゥ機体』『黒緑グロウ』のクリーチャー陣に対して、「シナジーしかない」ゾンビ達を目の前にしての「あえてゾンビを選ぶ必要性はあるのか?」という疑問は誰もが1度は考える根本的問題です。
■ ②φ(-_@) :「メタゲームの違い」
プロツアーでのトップメタは『マルドゥ機体』であったため、機体に効きにくい全体除去の投入枚数はそこまで多くはありませんでした。つまり、横並びのゾンビデッキにとっては悪くはない環境だったのですが、ここMDは「ミッドレンジ以上のほとんどのデッキが全体除去を採っている」ような状態。
機体もPWも少ないゾンビデッキにはクリティカルに刺さってしまうため、特に除去コン系のデッキとの相性は最悪、相当手札に恵まれないとまず勝てない印象です。
■ ③φ(-_@) :「歪なマナカーブ」
この点は先程もお話しましたね。
ゾンビデッキは、「5マナの《リリアナの支配》のためだけに土地を多めに採用しなければならない」というジレンマを抱えています。それゆえに通常のアグロデッキよりはフラッドしやすい構造になっているのですが、元々単体カードパワーが低いところにフラッドまで起こってしまえば勝つことは難しいでしょう。
以上がゾンビデッキが抱える問題点。
特に①「カードパワー」と②「除去への脆弱性」は如何ともし難く、毎日のようにカードリストを眺めながら、《よろめくグール》の可能性について真剣に検討してみたり、《悪運尽きた造反者》と《肉袋の匪賊》をフル投入したらどうなるか、などなど怪しい方向に進んできたところで見えてきた「第3の選択肢」。
それが黒青。
・ 除去に弱い
・ できるだけマシなゾンビを使いたい(単体カードパワーの向上)
・ でも《瘴気ミイラ》は使わないといけない
・ 4マナを埋めたい
⇒ 「ドレッジ要素を加える」というのが思考過程になりまして、先程挙げた全ての問題から一応は改善がはかられている(はず)。
ポイントはこちら2枚のドレッジコンビ。
《秘蔵の縫合体》は3マナ3/3と単体でも十分な性能のゾンビで、8枚ぐらい墓地から戻ってくるカードがあれば誘発期待値としても悪くはありませんし、誘発要因の《憑依された死体》は(あまりキャストはしたくないとはいえ)一応は4マナを埋めてくれます。
2枚ともが率先して墓地に送り込みたいカードになりますので《瘴気ミイラ》との相性もバッチリ、これだけ捨てるカードがあれば「2マナ2/2&相手だけハンデス」として機能することも珍しくありません。=カードパワーとして悪くはなくなったということ。
"姉上"こと《ギサとゲラルフ》は4マナ域をピタリと埋めてくれるカードで、ゾンビの産みの親だけあってゾンビ達とのシナジーは素晴らしく、回り出せば概ね勝てるでしょう。4マナ4/4というサイズから単体カードパワーとしても十分です。
これらのカードの投入により、「除去除去 ⇒ 負け」のような面白くも何ともないゲーム展開は減少、除去コン相手への絶望的な相性が改善されたところでこれが私の最終形なのですが、今回はもう1つデッキを紹介したいと思います。
yamame氏のリストです。
青をタッチして《秘蔵の縫合体》に活路を見出したところまでは同じなのですが、思い切って《リリアナの支配》をカット ⇒《血管の施し》を投入し、よりアグロアプローチを強めた構成になっています。
1番の特徴は《超常的耐久力》と《秘蔵の縫合体》のギミック。
《超常的耐久力》で死亡したクリーチャーは、「1度墓地を経由してから戻ってくるため《秘蔵の縫合体》の能力が誘発する」ので、クリーチャーを守りつつ《秘蔵の縫合体》を戦場に追加して、ボードとテンポの両面からアドバンテージを獲得することができます。《超常的耐久力》は《ただれたミイラ》《瘴気ミイラ》のカードパワーを向上させることにも繋がっており、シナジー性の高さからフライデーで最も評価の高かったリストでした。
本編は以上ですが、最後に不採用となったカードについてもふれておきます。
●《ゲトの裏切り者、カリタス》
4マナ域を埋めてくれるパワーカード。
調整のポイントが「アグロ相手には五分五分はやれる、問題はミッドレンジ以上との相性をどう改善するか」だったため不採用に。アグロには滅法強いカードですので、アグロを強く見るならば投入しましょう。
● 《リリアナ》3種
まず入らないリリー。
ゾンビにはリアニメイトして嬉しいカードがないため、やれることは概ね「5マナで2/2ゾンビを量産する」だけになります。単体パワーは高いので稀に1枚で勝てることもありますが、彼女を使うのならばやはり《墓後家蜘蛛、イシュカナ》・各種《機械巨人》などの強力なCIP(そういえば今はETBでしたでしょうか)クリーチャーを搭載したいところ。現状ではリアニメイト重視型の私のリストでワンチャンス、程度ですね。
総合的に入りにくいリリー。
①「彼女自体はゾンビではないのでゾンビシナジーを誘発させるわけではない」、②投入するのであれば《肉袋の匪賊》など能動的に死亡させるクリーチャーも必要で構築を歪める」、③「反転したとしてもそこまで絶対的ではない」+入れるなら3番目のリリーが優先される、理由としてはこんなところです。
悩ましいリリー。
アグロ戦略には全く適さないカードなのですが、戦略的不一致を抜きにしても単体パワーがぶっ壊れているので投入価値がある、というリリーらしい困った存在です。今回はビートダウンプランを重視して採用していませんが、アグロ相手にもコントロール相手にも1枚で勝てる可能性を秘めたカードですので、投入余地は十分にあるでしょう。
以上がゾンビレポートになります。
最後までご覧頂きありがとうございました(*_ _)
百人組手の人
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