『マルドゥ機体』『ティムールエネルギー』といった多色デッキを使っていて、色マナトラブルに見舞われたことのないプレイヤーはいないだろう。
「適切なタイミングで適切なカードをプレイできない」
というのは大きなストレスだ。
そこで今回は【単色デッキのススメ】をお送りしたい。
本題に入る前に「単色デッキの利点」からお話していこう。
■「単色デッキのメリット」
● 速度
何度も繰り返しているが、MDにはファストランドがない。
これにより、多色デッキはタップインリスクを抱えることになり、「コントロールデッキが4ターン目に《衰滅》をキャストできない」・「『ティムールエネルギー』が4ターン目に《逆毛ハイドラ》ではなく《ならず者の精製屋》しかキャストできない」、といった1ターン~半ターンの遅れが結構な頻度で生じることになる。
しかし、全ての土地をアンタップインで賄うことができる単色デッキではそういったことは起こり得ず、そういったデッキに対して君は半歩先んじてゲームに勝つチャンスを手に入れることができる。
● ミス
「土地を置く順番を間違えてしまう」といった単純なヒューマンエラーから、「土地を引く前提でアクションしたらドローがタップインだった」という結果論まで、およそ人である限り誰しもがこういったミスを経験したことがあるだろう。
多色デッキを使うプレイヤーは常にマナに対して頭を悩ませながらプレイしなければならないが、単色デッキでは色マナスクリューはまず起こらないため、君はストレスを抱えることなく快適にゲームをプレイすることができる。
以上が、単色デッキのメリットになる。
それでは本題としてMD版『ラムナプレッド』をご紹介していくが、今回は「試してみたが使用しなかったカード」にもふれつつ進めていきたい。
■ 土地:24枚
本家『ラムナプレッド』最大の強みが土地構成であったように、単色デッキでは土地を強く使える点も長所になる。そのメリットを活かすための土地24枚から、いくつかのダブルシンボルのカードのための《山》17枚を除いた残り7枚が、このデッキの旨味ということになる。
《荒廃した山峡》は《ラムナプの遺跡》とは比べ物にならないものの、《陽焼けした砂漠》と併せ土地だけで2~3点のダメージを期待できるようになるなら十分だ。《陽焼けした砂漠》の1点ダメージはPWへの牽制にもなり、例えば「3T《最後の望み、リリアナ》に対しても、《アン一門の壊し屋》+《陽焼けした砂漠》で落とすことができる。
従って、相手のPWに備え《陽焼けした砂漠》のセットランドは後々まで控えるべきだ。しかし、例外として《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》よりも《異端聖戦士、サリア》によるテンポロスのほうが問題となる『白系アグロ』を相手にする時は、先にセットランドしてしまったほうが良い。
〇 不採用
《そびえる尖頂》を入れてはいけない。
《ゴブリンの付け火屋》を+1/+1するために《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を諦めたり、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を+1/+1するために《アン一門の壊し屋》を諦めるのは狂っている。つまり、極僅かに得られるメリットよりもタップインが及ぼすデメリットのほうが遥かに大きく、単色アグロの土地は全てアンタップインであるべきだ。
■ PW:1枚
このカードが僅か4マナであることに感謝しなければならない。クリーチャー除去・本体ダメージ・カードアドバンテージに加え、奥義まで辿り着ければゲームが終わる。《反逆の先導者、チャンドラ》はデッキ中最高の1枚だ。
■ 機体:4枚
この2種類の機体が有用なことに疑問の余地はないだろう。
《密輸人の回転翼機》はあらゆるアグロデッキに投入されるべき"壊れた"カードで、《霊気圏の収集艇》はエネルギー補充源のないこのデッキでは『ティムールエネルギー』ほどの活躍は期待出来ないものの、十分に優秀なカードで何よりアグロ同型戦を勝ち抜くために必要だ。
〇 不採用
過半数を占める13枚のクリーチャーは単体で搭乗できず、残る11枚のうち過半数の6枚は4マナ以降だ。つまり、適切なターンで無理なく搭乗できるのは24枚中僅か5枚に過ぎず、このデッキで《キランの真意号》を効果的に運用することは難しい。
■ クリーチャー:24枚
● 1マナ:6枚
1ターン目にキャストできるクリーチャーは6枚~8枚程度必要だ。
《ボーマットの急使》は1ターン目から何回か攻撃した後に除去を1枚使わせるか、2・3枚のドローと引き換えてくれる。《ゴブリンの付け火屋》はキャストした瞬間に1点のダメージを約束してくれ、相手の2マナクリ―チャーを押し止め、あるいは相討ちに持ち込むことができる。つまり、先手後手を問わない活躍が期待できるカードで、仮に減らすとしても3枚は投入したい。
〇 不採用
先手1ターン目の《ゴブリンの栄光追い》は英雄になれることもあるが、後手の彼はしばしば突っ立っているだけの《さまようもの》に成り下がる。先手後手格差の著しいカードはデッキの安定性を損ねてしまうため、このカードを投入したくはない。
● 2マナ:7枚
《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》は(《密輸人の回転翼機》を除けば)ベストな2マナアクションで、3点のクロックはもちろん相手の2マナクリ―チャーを押し止めることもできる。《過酷な指導者》は、《進化する未開地》《不屈の追跡者》「各種機体」等々2点ダメージを期待出来る場面は多く、ライフゲインを実質1点に抑えることにより天敵たる《霊気圏の収集艇》対策になる。
特筆すべきは《燃えさし運び》で、このカードは本当に素晴らしい!
《ショック》内蔵型クリーチャーとして、キャストしただけで2点のダメージを確定させ、アタックによりさらに数点のダメージを期待できつつ、厄介なクリーチャーへの除去から最後の数点を削り切る火力まで、2マナのクリーチャーとは思えない仕事をやってのけてくれる。3ターン目に1マナ残してキャストするアクションでも十分に強いカードで、つまり上限一杯の3枚だ!
〇 不採用
《ケラル砦の修道院長》が真価を発揮するのは「3ターン目や4ターン目にアドバンテージを稼ぎながらキャスト」した場合で、このカードの居場所は「1・2マナのカードで固めたもっと鋭角なビートダウン」だ。36枚のうち半数近い16枚が3マナ以降であるこのデッキにおいて、彼のために《霊気圏の収集艇》や《ピア・ナラーとキラン・ナラー》を失うのは馬鹿げている。
● 3マナ:5枚
《アン一門の壊し屋》は赤単最強の3マナ域で、《ピア・ナラー》は攻防に強い。
〇 不採用
このデッキにはすでに《アン一門の壊し屋》《ピア・ナラー》《霊気圏の収集艇》という7枚の3マナカードが投入されている。《ハンウィアー守備隊》が優秀なカードであることに疑問の余地はないのだが、それらのカードよりも優先したいとは思わない。
● 4マナ:4枚
若干重い構成になっているため、4ターン目にアタックできることは少なくなったとはいえ《熱烈の神ハゾレト》が"ブッ壊れた"カードであることに変わりはない。《ピア・ナラーとキラン・ナラー》は4マナで飛行付の4点クロックに加え、全てのアーティファクトを2点ダメージに変えてくれる優れたカードだ。
《アクームの火の鳥》は、4ターン目の飛行3点クロックを止められるカードは機体を除けばほとんど存在せず、特に『ティムールエネルギー』や『トークン』のような地上が止まりやすいデッキに対して有効なダメージソースとなり、土地が伸びやすいこのデッキにおいて6マナでの「不死」能力はコントロールへのエンドカードとなり得る。それらを差し置いても、「3T:《アン一門の壊し屋》⇒4T:《アクームの火の鳥》」は非常に強力なアクションだ。
● 5マナ:2枚
最も疑義が生じるのはこのカードだ。
《栄光をもたらすもの》が赤単屈指の強力なカードであることは間違いないものの、5マナはやや重たく「4ターン目の《熱烈の神ハゾレト》」を大きく阻害する。仮に入れ替えるのであれば、1枚は《カラデシュの火、チャンドラ》が良いだろう。
■ スペル:7枚
2枚の《ショック》は主に対アグロ同型の後手を抑えるためのものだ。《蓄霊稲妻》は《密輸人の回転翼機》《巻きつき蛇》《呪われた者の王》といったタフネス3クリ―チャーに対処するために必ず必要で、本体に打てないからといって抜いてはならない。
《集団的抵抗》は言わば追加の《蓄霊稲妻》で、射程が4点まで広がれば《ゲトの裏切り者、カリタス》まで対処することができるし、多くの場合「クリーチャー4点+本体3点」モードを選択することになるが、4マナで7点と考えれば破格の性能だろう。
〇 不採用
《屑鉄場のたかり屋》は直接の脅威にはならないため、追放効果よりも本体に打てるメリットのほうが大きい。また、本体への与ダメージが1点多いといえ、スペル7枚のこのデッキでは魔巧を達成することが難しい。従って、《マグマのしぶき》よりも《ショック》が、《極上の炎技》よりも《集団的抵抗》のほうが優れている。
本編は以上になるが、最後に全ての赤いビートダウンプレイヤーにとって天敵となる《霊気圏の収集艇》対策について、私が試したもの・試していないものも含めご紹介し、結びとさせて頂く。
■「対《霊気圏の収集艇》」
●「無理やり」
「コンバットで5点ダメージを与える」。
このプランにおいて最も丸い選択は《暴力の激励》になると思われるが、大体の場合カード1枚とライフ3点を失っていることに加え、状況を選ぶコンバットトリックの投入は私のプレイスタイルに合わないので没。
●「壊す」
「アーティファクト破壊カードを使う」。
とはいえ領事府によるアーティファクト優遇政策が取られているMDでは、アーティファクトを破壊できる有用なカードは少なく、アーティファクト破壊を得意とする赤でさえギリギリ及第点と呼べるのは《壊し屋グレムリン》ぐらいだ。
一応何度か試したみたものの、さすがに起動3マナは重すぎる。せめて1マナ(《フェリダーの仔》を考えれば0マナであってもおかしくはないと思うが)であれば2枚程度の採用を真面目に検討しただろう。
●「奪う」
「奪ってから生贄に捧げる」。
いわゆる"ハスクシステム"だが、具体的には「《カーリ・ゼヴの巧技》⇒《ピア・ナラー》or《ピア・ナラーとキラン・ナラー》」ということになる。しかし、合計6マナもかかってしまう《ピア・ナラーとキラン・ナラー》は現実的とは言えず、最大2枚ずつのコンボのために《カーリ・ゼヴの巧技》のような状況を選ぶカードを投入したくはない。
●「焼く(+手札1枚)」
「《稲妻の斧》」。
《霊気圏の収集艇》以外の厄介なクリーチャーにも対処することができるようになるが、「手札を使い切って20点を削り切る」ことを理想とする赤単において、手札1枚の損失は見た目以上に重い。
●「焼く(+エネルギー)」
「《蓄霊稲妻》5点」。
《蓄霊稲妻》にエネルギー2点をプラスするという方法で、現状でも《霊気圏の収集艇》からこのアクションを起こすことができるが、ここに付け加えるのであれば2枚程度の《霊気追跡者》が良いだろう。2/1先制攻撃は攻防に強く、デッキを歪めずにエネルギー系カードの価値を高めることができるため、最終候補まで残っていた。
●「足す」
「[赤黒]にする」。
今回の主旨からは外れてしまうが、黒を足せば最強除去である《無許可の分解》を投入することができ、加えて『ヴァンパイア』であれば《稲妻の斧》を無理なく運用することもできる。
以上。
最後までご覧頂きありがとう。
φ(-_@) 百人組手の人
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