コラム:ランプの今

 さて、今回は『ランプ』デッキの今についてお話させて頂きたいと思います。

 

 第15回でプレイしました【緑◇ランプ】は非常に完成度が高く、プレイしていた私の感覚としては70%超えも期待できるのではないか?とも思えるものでしたが、結果は勝率58%でした。


 「上手くいっている」と思っていても、なぜか負けてしまうのです。

 勝てないがゆえなのか、ランプ自体に遭遇したのも400戦を通して僅かに7度・・・


 なぜ ランプは勝てなくなってしまったのか?


  かつて栄華を誇ったランプの今について見ていきましょう。



◆ 「環境が速くなった」


 ランプ全盛期のTier1アグロは『ゴブリンアグロ』でした。

 (※)Tier(ティア)=流行度を示す指標、数字が小さいほど多い

 長くプレイされている方にとっては懐かしいデッキですよね。

 『1T《ゴブリンの栄光追い》⇒2T《満月の呼び声》or《伝染性渇血症》」からスタートする高速ビートダウンデッキです。


 このタイプには「速さ」を1番の苦手とするランプも苦戦を強いられたものなのですが、ではTier2に目を向けますとどうだったでしょうか?

 Tier2には『白ウィニー』や『黒緑エルフ』、ミッドレンジにまで目を向けますと『青赤ソプター』などが生息しておりましたが、これらのデッキは『ゴブリンアグロ』ほど速くはなく、クリーチャーのほとんどが2/2以下でしたので、

 《ジャディの横枝》でライフゲインしながら時間を稼いだり、1度《光輝の炎》などの全体除去で一掃すれば建て直しも難しく、ある程度余裕を持って戦うことができたのです。

 


 ところが・・・



 現在のアグロクリーチャーは優秀です。

  Tier1の『機体アグロ』は《模範的な造り手》《経験豊富な操縦者》など主力クリーチャーのほとんどがパワー3、Tier2以下に目を向けても、

 『赤緑エナジー』の《通電の喧嘩屋》は何と2マナ4/3トランプル、『黒赤吸血鬼』の《ファルケンラスの後継者/夜陰の後継者》は3/2飛行・・・などなど、殺意に溢れたクリーチャーが多く、油断しているとあっという間にライフを削り切られてしまいます。さらに、

 Tier1の『機体アグロ』~ほぼ全てのアグロデッキが用いて来る《密輸人の回転翼機》、《屑鉄場のたかり屋》など除去耐性のあるクリーチャーも多く、1度全体除去を打ったぐらいでは止まらないのが今のアグロなのですよね。また、

 火力呪文も大幅にアップグレードされました。

 昔は警戒すべき本体火力は《極上の炎技》ぐらいだったのですが、今では《癇しゃく》《集団的抵抗》など優秀な火力呪文がありますので、何とか盤面を抑えたとしても本体に火力を撃ち込まれると逆転する前に負けてしまうのです。



◆ 「カードが強くなった」


 +ランプのカードが弱くなった、ですね。

 《門を這う蔦》と《ムウォンヴーリーの酸苔》。

 どちらも黄金期のランプを支えた名カードです。前者はマナの確保と時間を稼ぐチャンプブロッカーとして、後者はオリジン環境を定義付け「《酸苔》があるから遅いデッキは成立しない」と言わしめていたほど。

 「2T《門を這う蔦》⇒3T《ニッサの巡礼》⇒4T《ムウォンブーリーの酸苔》」はランプデッキのゴールデンムーブだったのですが、現在はこの2枚を使用することができません。



 次に・・・そうですね、『PWS』に目を向けてきましょう。

 ご存じ「PWを連打する」デッキなのですが、かつてランプはこのタイプに有利だとされていました。

 当時は速いターンに出て来る危険なPWが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》ぐらいで、即効性のない《巨森の予見者、ニッサ/精霊信者の賢人、ニッサ》や《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》などであれば《絶え間ない飢餓、ウラモグ》で弾き飛ばせるため、十分に巻き返すことが可能だったのです。


 ところが、

 現在では《最後の望み、リリアナ》《反逆の先導者、チャンドラ》《アーリン・コード》《実地研究者、タミヨウ》など、速いターンに出て来る強力なPWが多く出現しました。

 特に4・5ターン目の攻防は勝敗の鍵となることが多く、


 こちらがマナ加速をしている間に ⇔ 相手は強力なPWを展開してくる 


 のですから、後半にこの差を逆転することが難しくなりました。

 奥義を食らってしまえばそれだけで負けてしまいますしね。。。



◆ 「タイタンで勝てなくなった」


・《天界のほとばしり》

・《抑制する縛め》

・《肉袋の匪賊》

・《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

・「カウンター」

・(出される前にゲームを決める)

 


 これ、何だかお分かりになられますか?


 ・・・ かつての《絶え間ない飢餓、ウラモグ》への対処法です。


 《天界のほとばしり》《肉袋の匪賊》は厳しい限定条件下、「カウンター」は場に出る前の対処、「速攻」は戦略的な対処法になりますので、実質的には《抑制する縛め》か「自分も《ウラモグ》を返す」という本末転倒な回答しかなかったのです。(同型に勝つことを重視した『青緑カウンターランプ』みたいなデッキもありましたよね)



 =「出してしまえさえすればほぼ無敵」

 


 すなわち、ランプデッキにとって《ウラモグ》に辿り着くことがゴールであり、召喚することができれば概ねゲームの終着を意味していたのです。

  この絶対神《ウラモグ》に加え、《ガイアの復讐者》まで擁していたランプは、特に『パーミッションコントロール』や『黒緑系コントール』には圧倒的な優位を誇っていました。



 ところが・・・



 現在では様相が異なります。

 《石の宣告》《神聖な協力》《天使の粛清》《苦渋の破棄》など、汎用性のある応手は格段に増えました。もはやエルドラージタイタンは「出せば勝ち」という絶対的な存在ではなくなってしまったのです。


 エルドラージタイタンを出しただけでは勝てなくなってしまった


 これが、ランプデッキ衰退の最大の理由ではないでしょうか。

 

 

 つまり・・・


 ①アグロの攻勢を耐え忍び

 ②ミッドレンジのPWを受けつつ

 ③エルドラージタイタンに辿り着いた後

 ④そこから(対処されることも想定した上で)逆転を目指さなければならない


 以上が現在のランプデッキに求められる動きになるのです。

 う~ん、難しいですよね(-ω-;)

 果たしてこれらを全て満たし、今一度かつての威光を取り戻す新時代のランプデッキは現れるのでしょうか?

 

(*-ω-):「森を愛する皆さん、今こそ立ち上がるのです!」

(-ω-●):「エルドラージは壊す側なんだけどね…」


ご覧頂きありがとうございました(*_ _)


百人組手の人

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