コラム:ゴルガリの悲哀

 さて、今回は「黒緑」についてお話していきましょう。

 テーマは・・・


● 「「黒緑」はなぜ勝てないのか?」


 通算800戦。


「黒緑」ゴルガリ団が百人組手に挑み、そして勝率70%を達成できなかった回数です。それでも何度か「そこそこ」という結果を残したことはあるのですが、総じて「負け組」という印象は拭えず、今回実戦した『黒緑昂揚』はMTGスタンダードで実績のあるデッキであったにも関わらず、結果は芳しいものではありませんでした。


 ・なぜここまで勝てないのでしょうか?


 【第X回:ch.2 オールスターズ】の考察において、「鈍重であるから」という表現を致しましたが、今回は現環境を代表する「黒緑デッキ」:『黒緑昂揚』を題材に、もう少し掘り下げて考えていきましょう。(実は前にも似たような記事を書いた記憶があるのですけどね(。-∀-);)



◆ ①「プレイ介入度が低い」

(ゆえに、相手は最適解を見つけやすい)


 こちらについては前にもお話ししましたね。

 『黒緑昂揚』はアクションのほとんどがソーサリータイミングであるために、相手のアクションに介入する(=裏をかく)プレイが難しく、また単調ゆえに相手も最適解を導きやすすく、間違ったプレイを選択してこちらが有利になる、ということも中々期待できません。


 ちなみに、この「最適なプレイ」をある種のリソースとして利用しているのが『白青フラッシュ』ですね。アクションのほとんどがインスタントタイミングで構成されているため、相手は最適解を導き出すことが非常に困難になっており(事実上不可能)、=相手の間違ったプレイで勝てることも多いでしょう。しかしながら『黒緑昂揚』の対戦相手は概ね間違えることがありません。


 =「手札で負けているとそのまま負けてしまう」



◆ ②「確定パターンがない」

(そして、相手の確定パターンを止める手段もない)


 言い換えるならば「必殺のムーブがない」になりますでしょうか。

 例えば『機体アグロ』ならば有無を言わさぬ不可避の速攻、『ターボフォグ』であれば第3ターン《スフィンクスの後見》からの理不尽なLO、『パーミッションコントロール』には終盤の絶対的支配力…といった具合に、強いデッキには必殺の型があるものなのです。


 ところが、『黒緑昂揚』にはそれがありません。

 勝ち手段はほぼクリーチャービートのみ(それも決して速いとは言えません)、愚直に殴るだけのこれぞフェアデッキであるため、盤面で優勢であったとしても、全体除去はもちろん単体除去でもいとも簡単にひっくり返されてしまいます。


 さらに悪いことに、『黒緑昂揚』にはマウントを返す手段もほとんどありません。アグロのドブン回り・LOの高速回転・コントロールの制圧…実戦でもありとあらゆるパターンが敗因になっていましたし、【ただ1枚のPW】これだけでも窮地に追い込まれてしまうのです。


 =「あまりにもフェア過ぎるために、勝つのは難しく負けるのは容易い」



◆ ③「トップデッキが弱い」

(さらに、相手のトップデッキにも弱い)


 ②に関連してなのですが、『黒緑昂揚』はトップが弱いです。

 残り数点まで削ったところでの《極上の炎技》、フラットな状態で駆け付けてくる《炎呼び、チャンドラ》、盤面を制圧した状況で捲れる《奔流の機械巨人》…何れも「これで勝てる!」という劇的なトップデッキですが、『黒緑昂揚』にそのようなカードはほとんどありません。


 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は優秀なカードですが、とはいえクリーチャーですので除去を撃たれればそれまで。《生命の力、ニッサ》は唯一ナイストップとなりうるカードではありますが、やっていることは5/5の土地によるビート、その他の能力も強力ではあれど即効性がありませんので、「引く=勝てる」とは中々なりにくいのです。


 =「自分のトップでは勝てないが、相手にトップされると負ける」 



◆ ④「マナがタイトである」

(されど、フラッドにも弱い)


 こちらは③に関連していますね。

 『黒緑昂揚』はそこまでマナに余裕があるデッキではありません。そもそも毎ターンマナを使い切る綺麗なマナカーブで構成されておりますし、加えて《発生の器》《悪意の調合》など追加のマナを必要とするカードもあるからです。


 さらに、土地を引き過ぎてもいけません。フラッドを受けられるカードが《不屈の追跡者》など極一部しかなく、また前述の「トップデッキの弱さ」も相まって、少し土地を多く引いてしまっただけで取り返しのつかない差ができてしまいます。


 =「土地が止まっても引き過ぎてもダメ」



◆ ➄「明確に有利なデッキがない」

(しかし、明確に不利なデッキが存在する)


 総括するとこうなりますね。

 実戦結果を振り返ってみても、「ビートダウンに確定的な強さがない」のでランプには悠々と展開されたあと「こちらが対処できない」フィニッシャーを叩き付けられ、「プレイ介入度が低く」「トップデッキも弱い」ためにコントロールには「PWや全体除去」での制圧を易々と許してしまいます。


 その分他に明確な有利が取れるデッキがあれば良いのですが(例えばアグロには滅法強いなど)、対アグロ対ミッドレンジともに60%前後勝てればという程度で、コレといった有利な相手がいないのが現状です。


 =「メタゲームとしても厳しい立ち位置にある」



 ・・・ 以上が黒緑デッキが勝てない理由になります。

 

 「オリジン」環境の中心であった『黒緑《進化の飛躍》』、アグロの一角を担った『黒緑エルフ』など、かつてはメタゲームを構成する素晴らしいデッキを輩出していたゴルガリ団、彼らが再び脚光を浴びる日は来るのでしょうか。


(-ω-●):「とりあえずまともなハンデスとPW除去をだね…」

(。-∀-):「でも次も赤い次元なんだよね!」


 ご覧頂きありがとうございました(*_ _)

百人組手の人


Magic Duels 百人組手

マジックデュエルズ実践ブログ

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