第壱回百人組手杯:予選③回戦


◆Spicy『スゥルタイコントロール』 vs mao『グリクシスリアニ』


 さて、大会も佳境に入って来た第3試合。

 ともにここまで全勝、勝てば決勝進出というバブルマッチをお届けしよう。


 すでにご存じの通り、技巧が凝らされたオリジナル『スゥルタイコントロール』で勝ち上がって来たSpicyに対し、maoが操るのは『グリクシスリアニ』である。


 通常コントロールvsリアニではコントロール側が有利で、理由としては「リアニメートスペルを打ち消せばいいから」という一言に尽きる。《屍術的召喚》《末永く》などのリアニメートスペルのみに的を絞ってカウンターすれば良く、リアニ側が勝つためには・・・


・①最速の5ターン目にうっかりリアニスペルが通ることを祈る

・②リアニスペルを連打してカウンターが尽きたところにもう1度リアニメート


 概ね、このどちらかが必要になる。=1つ目のターニングポイントは、リアニメートスペルが打てるようになる「5ターン目にカウンターがあるか否か」


 この点に注目してご覧頂きたい。



●GAME1


 初動はmaoの《安堵の再会》、ドローを加速するとともに墓地に釣り上げる"魚"を落とすリアニメートの定番スペルだ。墓地に落ちたのは《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。


 動きのないSpicyに対し、maoはさらに《パズルの欠片》をキャスト。捲れたのは《屍術的召喚》。これで"魚"と"釣竿"が揃いリーチである。


 そして迎えた運命の第4ターン。

 Spicyは後手、すなわち返しの5ターン目にはほぼ確実にmaoの《屍術的召喚》が飛んでくる。冒頭で申し上げた通り、コントロール側が「絶対にカウンターを構えなければならない」第1の鬼門であるが・・・


 Spicy:キャスト《ヴリンの神童、ジェイス》


 ・・・なかった。


 千載一遇の好機を得たmao、もちろん意気揚々と《屍術的召喚》をプレイ。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が戦場にそびえ立つ。


 スゥルタイカラーのSpicyのデッキで、このエルドラージタイタンに対処するカードは存在しない。腹を括って8/8《新緑の機械巨人》でダメージレースに一縷の望みをかけるも相対する《ウラモグ》は12/12にして破壊不能。


 ライブラリーを削られながら、Spicy投了。


mao 1-0 Spicy


 

 《屍術的召喚》の次のターン、チラリと見えたSpicyの手札は《集中破り》《疑惑の裏付け》だった。《疑惑の裏付け》には1マナ足りず、推測だが不運にも1ターン遅れて《集中破り》を引いたのだろう。


 しかし、相手がリアニメートとわかった2戦目以降はカウンターの多い手札をキープするはずで、maoにとっては1戦目以上に厳しい戦いとなる。



●GAME2


 初動はSpicyの《エルフの幻想家》。


 maoは今回も《安堵の再会》からスタート。そのあとも《パズルの欠片》《安堵の再会》と連打していくが、ここでSpicyがmaoの墓地を確認すると異変が・・・


 【"魚"がいない】


 幾度となくドロースペルを連打しても、釣り上げるクリーチャーを引けないのだ。さらに《安堵の再会》《パズルの欠片》で掘る。ライブラリーは残り20枚を切ったが、それでもクリーチャーに巡り合えない。


 maoが嵌っている間にSpicyは《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》をキャスト、一気に盤面を制圧にかかる。


 が、maoはこれをターンエンドの《抗えない抑止》でバウンスしたあとに《屍術的召喚》。墓地にクリーチャーはいないはずだが・・・?


 対象は、Spicy の墓地の《ゲトの裏切り者、カリタス》!

 そう、リアニメートスペルは相手の墓地も対象に取れるのだ。


 返しのターン、Spicyはやむなく再キャストした《ニクシリス》の能力で《カリタス》を破壊。いまいちマナが伸びておらず、複数行動できないのが苦しい。


 maoはもう1度《カリタス》を対象に《屍術的召喚》。主であるSpicyに刃を向ける《カリタス》、名前の通り「裏切り」はお手のものか。


 Spicyはブロッカーに《ムラーサの緑守り》をキャスト。《カリタス》の攻撃から《ニクシリス》を守る構え。


 が、ここでmaoはまず《光輝の炎》、解決後に《灼熱の衝動》で《ムラーサの緑守り》を倒し、道をこじ開け・・・ようとしたのだが、これに対応してSpicyは《ムラーサの緑守り》に《本質の変転》!。またしてもSpicyワールドが炸裂した。



 かのように思えた。


 mao:《本質の変転》に《払拭》!


 まさかの1枚で《ムラーサの緑守り》を除去するとともに、ゾンビトークンを生み出しつつアタックで《ニクシリス》を葬るビッグターン。


 こうなるとSpicyは苦しい。

 何とか《不屈の追跡者》をキャストし耐えようとするもの、返すターンにmaoは《屍術的召喚》からSpicyの《害悪の機械巨人》を対象に取る。さすがにこれは堪らない、Spicyは《集中破り》でカウンター。


 が、しかしmaoはこれに2枚目の《払拭》!


 《害悪の機械巨人》の能力で《不屈の追跡者》を除去し、加えて盤面には《カリタス》とゾンビトークンが2体、圧倒的な場をつくりあげる。


 しかし、Spicyは諦めない。

 逆境?劣勢?望むところだ、コントロールの美学とは「逆転」にある。逆転の美酒を味わうためには「まず負けなければならない」。コントロールとはそういうものなのだ。


 まずは冷静に紛争を達成した《致命的な一押し》で"裏切った"《カリタス》を除去、《害悪の機械巨人》には《精霊信者の賢人、ニッサ》が命を賭して産み出したアシャヤ・トークンと《風切る泥沼》のダブルブロックで対処し、maoの戦場を2体のゾンビトークンのみとする。


 残りライフは3点だが、こちらの場には呪禁を持つ《伐採地の滝》があり、見た目以上に守りは堅い。ドロースペルを連打したmaoのライブラリーはすでに11枚、LO勝ちも見えてくる枚数だが、ここまでの長期戦で場には大量の土地が並んでいる。つまり・・・


 mao:「《ウラモグ》を素出し」


 追放対象は《窪み渓谷》と《伐採地の滝》。

 ここで不運だったのはSpicyの青マナが2枚しかなかったことだ。《ウラモグ》に《風への散乱》を打つことは必須。しかし、そうするとクリーチャー化する青マナがなくなるため、虎の子の《伐採地の滝》を守れなくなってしまうのだ。


 しかし、背に腹は代えられない。やむなく《風への散乱》覚醒で土地をクリーチャーしブロッカーを確保しつつ《ウラモグ》を打ち消す、必死の防戦である。


 だが、勝負の決着はそんな人類の些細な抵抗など関係ないところで訪れた。


 次のターン、mao:《末永く》

 

 一応カウンターを試みるSpicyだったが、そのスペルはこの局面では賞味期限切れの《呪文萎れ》。追加の3マナが支払われ着地する《ウラモグ》と《コジレック》、鎮座した2体のエルドラージタイタンが、暴虐のままに粘るSpicy を蹂躙していった。


mao 2-0 Spicy



・カウンターを打てないところにリアニメート

 

 冒頭部分を覚えておいでだろうか?

 結果的には「コントロールにリアニが勝つためのパターン②」で勝利したmaoだが、


 攻防の鍵となったのは間違いなく《払拭》である。

 確かに、《払拭》があれば「最速の5ターン目ではなく、6ターン目に仕掛けてカウンターを《払拭》する」というプレイの幅も広がり、またそれ以外にも通常予想の範疇であるこのカードは、今回のように効果的に機能する場面もあるだろう。


 「カウンターが苦手ならばどうすればいいのか」


 これもまた構築の妙である。


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