唐突だが、皆さんがデッキをつくる際の「こだわり」は何だろうか?
マジックプレイヤーともなれば、こだわりの1つや2つあるもので、私の場合は第一に「丸いデッキ」である。
現代マジックはオールイン戦略のほうが優れているとされ、まして「サイドボードなしの1本勝負」「有象無象のデッキがプレイされている魔境」であるMDでは全方位に受けるなんてインポッシブル、なおさら自分のやりたいことを追求したほうが良いことは重々承知している。
だが、それでも私がマジックに求めるものは「対話」であり、読み合いと駆け引きの末に「今のはいい勝負だったね」と言い合えるようなゲームを望むのであれば、丸いデッキが1番なのだ。
しかし、ただ丸いだけでも面白味がない。
第二のこだわりは「スパイス」だ。
最適化を求めるプロレベルではノイズと断罪されてしまっても、1枚でもいいから面白いカードを使いたい。それが1発逆転の可能性があって、なおかつサプライズも伴っていれば文句なし。
変なカード=他のプレイヤーが弱い or より強いものがあると判断したカードなので、大体元のデッキより弱くなってしまい、時折オーソドックスな『マルドゥ機体』や『ティムールエネルギー』をプレイして暴力的な強さに目ん玉飛び出たりするが、気にしない。
だって、それが好きなんだから。
今回のテーマは、その"スパイス”だ。
・・・
《末永く》。
「墓地からクリ―チャーを最大2体戦場に出す」ソーサリー。
強烈なインパクトとサプライズを併せ持つカードでありながら、このカード自体のコストが6マナと重たく、そしてリアニメイトしたいクリ―チャー自体のコストも重いというマナコスト上のジレンマから、あまり見かけないカードである。
だがしかし、私は気づいてしまったのだ・・・。
【MTG ⇒ MDアップロード企画 /『ティムール霊気池』】を覚えておられるだろうか?
《霊気池の驚異》の代替品を探すべく、《次元橋》《僧帽地帯からの援軍》をテストしてみたもののてんでダメ。最後は掲示板に投稿されていた『青緑ランプ』を借用し、「コレ、デッキからハズレ(土地)を抜き出して絶対に当たるようにしたガチャだからね!」と言い張った、どこに《霊気地の脅威》要素があるのか全くわからない完全なる黒歴史…。
『ティームール霊気池』のコンセプトはシンプルだ。
エネルギーを溜め、4マナの《霊気池の驚異》から「《絶え間ない飢餓、ウラモグ》ガチャ」にチャレンジし、10マナの《ウラモグ》が捲れれば大体ゲームエンド、相手のパーマネントを2つ追放するオマケ付。
では、《末永く》はどうか。
唱えるのに6マナかかるもの、例えば《害悪の機械巨人》と《ムラーサの緑守り》を釣り上げれば合計12マナ分、さらに相手クリ―チャーを1体破壊し、墓地からカードを1枚手札に戻すことができる。
あれ、あれれ・・・?
・《霊気池の驚異》:4マナ ⇒ 10マナ相当 = 差し引き6マナ&アドバンテージ2
・《末永く》 :6マナ ⇒ 12マナ相当 = 差し引き6マナ&アドバンテージ2
・・・この符号!
と書いてしまえばオマージュの域を超えてしまうのだが、それだけではない。
《霊気池の驚異》がどこまでいっても「上6枚に《ウラモグ》があるか否か」という運否天賦に一喜一憂するクソゲーであるのに対し、《末永く》はあらかじめ作為的にアタリを仕込んでおくことができるのだ。
つまり、これこそが「絶対に当たるガチャ」ではないのか!
今こそあの時の荷を降ろす時…
心躍らせた私が意気揚々と向かったのは・・・Googleである。
この情報氾濫時代、一から考えるよりは誰かのつくったデッキをパク…参考にしたほうが遥かに時間効率がいい。早速「MTG・リアニメイト・《末永く》」などと適当に検索してみる・・・
あったあった。
そんなに数は多くないものの、やはり先駆者がいたようだ。
以下がデッキのキーパーツである。
● "釣竿"
《末永く》と併せて《死の権威、リリアナ》も用いるようだ。
繰り返し使えるリアニメイト能力に、強いPWの評価基準である自分を守れる能力も持っていて、怒らせたらゾンビ以外に《神の怒り》をぶちかますお嬢様。いまいちモテない彼女だが、シナジー・カードパワーともに申し分なく、ちゃんとMDにも収録されていて一安心。
● "魚"
アグロキラーの全体マイナス修正能力に加え、自身が釣竿も兼ねている《陰謀の悪魔》が収録されていないのは(本当に本当に)残念だが、もう1枚のキーパーツっぽい《害悪の機械巨人》はあるし、リアニメイトして嬉しいETB能力を持つクリ―チャーはMDにもたくさんいるので、概ね問題ないだろう。
● "餌"
問題はここだ。
MDには「破滅の刻」が収録されていないので、《ジェイスの誓い》以外の《巧みな軍略》《機知の勇者》が当然存在せず、代わりとなるカードを何か探さなければならない。そんなものそうそう・・・
あった。
《収まらぬ思い》と《目録》。
本家より見られるカードと捨てるカードが1枚少ないだけ(一応)。マナコストが同じなのは良い点なのだが、とはいえ単純にカードパワーは低下している(かなり)。特に《目録》のほう、本当にそんなカードで大丈夫なのか?
とはいえ物は試し、何事もやってみなければわからない。
というわけで、私が最初に構築した『リアニメイト』がこちらである。
どうせならと《陰謀の悪魔》にかこつけて《イフニルの魔神》を投入し、上記のスペルに加え、汎用サイクリングスペルである《検閲》《ヒエログリフの輝き》でドローを進めながら、中盤以降に《イフニルの魔神》を直接キャストするか、墓地から釣って制圧するコンセプト。サイクリングして自ら墓地に送ることができるのもポイントが高い。
が、全然ダメ。
あまりにもクソデッキすぎてリストの掲載すら躊躇するレベル。
・ ①戦場に残る
・ ②戦場に残ったあとにサイクリング or ディスカード
《イフニルの魔神》が活躍するには以上の条件を満たす必要があるわけだが、ボードをつくらないデッキでは除去や回らざるを得ないブロックで簡単にやられてしまい、よしんば生き乗ったとしても、それまでに必死に連打していたドローによりディスカード手段が枯渇していて中々安定起動できないのだ。
さらば《魔神》よ。
「アモンケット」リミテッドの君は最高だった。
だが、私はもう貴様とは契約しない。
というか、そもそも1ターン目からやる気満々のドワーフやゴブリンが走ってきて、4ターン目にPWが登場してくる環境で、2ターン目3ターン目をドローに費やしていたら簡単にしねる(当たり前)。
ドローはせめて2マナだ、2マナアクションのドロー・・・
あった。
《過去との取り組み》。
土地とクリ―チャーしか回収できないが、見られる枚数は《巧みな軍略》と同じで、しかもこちらはインスタントだ。早速[黒青+緑]だったマナベースを緑中心に置き換えて試してみる・・・
が、最悪。
「あなたが落としたのは《死の権威、リリアナ》ですか?」
「それとも《末永く》ですか?」
「いいえ、《森》ですが(怒)?」
このカードの本来の用法は、2ターンではなく中盤以降にすでに墓地に落ちているクリ―チャーをピンポイントで拾いにいくものではないのだろうか。
クリ―チャーは手札より墓地にいて欲しいこのデッキでは回収がそこまでのメリットにならず、それ以上に必要なスペルが落ちてしまうデメリットのほうが大きい。特にPWや《末永く》が落ちてしまった時の精神的ダメージが半端なさすぎる。
♠「暗礁」♠
中々思うような形をつくれない『リアニメイト』。
だが、これまでの失敗を経て見えてきた、いくつかの光明・・・。
続きは後編で。
ご覧頂きありがとう。
φ(-_@) 百人組手
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