スゥルタイリアニメイト:調整録②

 前編からの続き。

 

 人は失敗から学ばなければならない。


 「青黒サイクリング型」「黒緑《過去との取り組み》型」どちらも芳しくなかったわけだが、失敗の原因は「ボードをおろそかにするとアグロやPWに簡単に負けられる」「肝心の《末永く》や《死の権威、リリアナ》が直接墓地に落ちてしまう」ことだった。

 

 つまり、


・ ①ボードを維持できること

・ ②ドロースペルの標準は2マナまで

・ ③かつ選択式ドロー(≒ルーティング)ができること

 

 以上がデッキの課題ということになる。

 しかし、このうち①については実はすでに解決策が提示されていた。


 《不屈の追跡者》と《ならず者の精製屋》。

 緑を濃くした「《過去との取り組み》型」の怪我の功名として、彼らの投入を思いついていたからだ。クリ―チャーを展開しながらライブラリーを掘り進めることで、《末永く》に依存することなく普通のミッドレンジとしてふるまうことも可能になり、また中盤以降に登場するであろう《森林の怒声吠え》をより強力なものにしてくれる。



 問題はやはりドロー(餌)の部分である。

 理想は「ボードにプレッシャーをかけながら、ルーティングできる2マナ以下のカード」になるのだが、そんな都合の良いものがあるわけ・・・


 あ、あった。


 《密輸人の回転翼機》。

  ただただ強すぎるカードとしてMTGでは禁止され、MDにおいては未だ猛威を奮い続けるこのカードであるが、私のリアニメイトにおいては「2マナ」「PWへの受け」「ルーティング」と求めていた性能を全て有しているまさにこの1枚だったのだ(始めから気づけよって話)。


 しかし、まだそれだけでは足りない。

 「2マナ」「ルーティング」、そして《密輸人の回転翼機》のことを考慮に入れれば、できれば「クリ―チャー」であることが望ましいのだが、2マナのクリ―チャーにそんな器用な奴がいるわけ・・・


 いた。 


 《波止場の潜入者》。

 ダメージ誘発のルーティングを持つさながら小さな《密輸人の回転翼機》であり、1/1という貧弱なボディながら、その貧弱さゆえに潜伏からダメージを通すことができ、リアニメイト用の重いクリ―チャーを捨てつつ3/2トークンを生成、という動きもデッキにピタリと嵌っている。


 ・・・OK、十分だ。

 これで"餌"も整った。



 こちらが完成したリストになる。

 コンセプトは「《末永く》にフィーチャーした丸いミッドレンジ」で、《末永く》や《死の権威、リリアナ》を引けなくても戦えるようになっているため、基本的なゲームプランは「適等に戦いながら、頃合いを見てリアニメイト ⇒ 戦況を逆転・あるいは決定付ける」というものになるのだが、手札にあるのならばもちろんオールインしても構わない(その辺りの判断が1番難しかったりする)。


 以下カード選択についてだが、今回は「釣竿」「餌」「魚」に分けてご説明していこう。



● 土地


・《進化する未開地》

 と言いつつ始めが土地なのは、このカードが非常に重要な役割を担っているからだ。


・「オーナーのライブラリーの1番下に置く」


 テキストの最後の一文であるが、《末永く》は「ライブラリーに戻る」という性質を持っているため、キャストした後に《進化する未開地》でライブラリーをリシャッフルすれば《末永く》をトップに積み込むライブラリーの上に戻すことができるのだ。


 =何度でも回せるガチャ!

 (絶対に気のせいだが、実際に体感オントップ率は高い)



・《ガイア―岬の療養所》

 言うなれば"土地枠の餌"である。

 「クリ―チャーを墓地に送り込む」「リアニメイトカードを探す」「マナフラッドケア」等々、このデッキにおいての用途は広く、色マナベースに負担をかける意味は十分にあるだろう。

 


● 釣竿


・《末永く》

・《死の権威、リリアナ》

 説明不要の2枚。

 これらのカードで状況に応じたETBクリーチャーを適宜リアニメイトし、アドバンテージを突き放していくのが基本戦略になる。



● 餌


・《密輸人の回転翼機》

・《波止場の潜入者》

 この2枚については冒頭ですでにご説明した。

 補足するとすれば、問答無用の《密輸人の回転翼機》はともかくとして、《波止場の潜入者》は時折ただの1/1バニラに成り下がってしまうので、(シナジーはなくなってしまうが)この枠を《節くれ木のドライアド》や《才気ある霊基体》などにできればさらに安定するかもしれない。



・《ヴリンの神童、ジェイス》

 通常は使用後の《末永く》はライブラリーに戻ってしまうため、このデッキでの《ジェイス》の役割は概ねルーターとボードの抑えに終始することになる。が、何らかの事態で墓地に落ちてしまった《末永く》を再使用できるのは彼だけだ。



・《収まらぬ思い》

 4枚 ⇒ 3枚 ⇒ 2枚と減っていった。

 正直なところ率先して使いたいカードではないのだが、2マナアクションとドローの兼ね合いで2枚だけ残してある。しかし、マッドネス付なので《密輸人の回転翼機》《波止場の潜入者》といったルーティングカードと相性が良い点は評価できる。


 

・《ジェイスの誓い》

 やや重たさは感じるものの、MD中では最上級のルーティングカードで、計3枚投入されている「PWが戦場にいた場合の占術」効果も地味に有難い。



● 魚


・《再利用の賢者》

 魚に該当するのかは微妙なところなのだが、「何度でも解呪を打てる」というのは置物デッキが多いメタゲームでは非常に心強いものがある。



・《巨森の予見者、ニッサ》

 森3枚での運用はギリギリではあるものの、序盤には土地を伸ばし、後半にリアニメイト ⇒ 反転から一気に有利な状況をつくりあげられるメリットはリスクを補って余りある。



・《墓後家蜘蛛、イシュカナ》

 神様仏様イシュカナ様。

 カードタイプが豊富なデッキなので、自然に昂揚していることも多い。「アグロへの受け」「飛行ブロッカー」からフィニッシャーと八面六臂の活躍を見せてくれる。



・《高木背の踏みつけ》

 《ムラーサの緑守り》から最後の1枠を奪い取ったカード。

  理由としては、赤単系のアグロが多い中《害悪の機械巨人》1枚だけではライフに不安があったため。アグロ相手に表裏で10点回復できれば大体のゲームに勝つことができるだろう。



・《害悪の機械巨人》

 デッキの根幹となるカード。

 6マナという重さから【コントロールコラム】で散々酷評されてきた彼であるが、このデッキでは「クリ―チャー除去」「ライフゲイン」を同時にこなすフィニッシャーとして素晴らしい働きをする。《末永く》はコレ+@が第一希望。



・《光り葉の選別者》

 《害悪の機械巨人》の2枚目。

 パワーとタフネスが異なるクリーチャーしか対象に取れないので時折困る場面があるものの、大体のクリ―チャーは対処することができる。贅沢は言っていられない。



・《森林の怒声吠え》

 このデッキのエース。

 6/5というサイズもさることながら、《不屈の追跡者》《再利用の賢者》《ならず者の精製屋》を状況に応じてサーチすることができる。《末永く》で釣った時のインパクトはデッキ中最大、例えば《ならず者の精製屋》を選んだとしても6/5+3/2+1ドロー+@である。

 

 アドアドしくて実に宜しい。



● その他


・《不屈の追跡者》

・《ならず者の精製屋》

 前述済。

 デッキを支える「丸いカード」だが、どちらも実質最低1ドロー付のETBクリ―チャーであるため、後半に《末永く》のお供として釣り上げても悪くはない。



・《暗記 / 記憶》

 負け筋の回避。

 アグロにビートダウンされることを除いた主な負けパターンは、①各種神や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》といった「破壊不能クリ―チャー」、②《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《反逆の先導者、チャンドラ》などの「PW」になるのだが、そのために《忘却の一撃》か《不帰 / 回帰》のどちらを1枚挿すか迷った結果、一応両方を受けることができるJensenイズムに落ち着いた。

 

 カード選択は以上だが、最後に「不採用となったカード」にも少しふれておこう。



● 不採用


・「スペルを拾えないドレッジ・ドローカード」

 「《過去との取り組み》型」の時にもご説明したが、このデッキがドロースペルで1番拾いたいのは《末永く》か《死の権威、リリアナ》であるため、これらのカードが落ちてしまうドロースペルは精神的ディスアドバンテージに繋がるため採用したくなかった。



・《最後の望み、リリアナ》

 同上。

 このデッキは「手札に加える」ことではなく「墓地から釣り上げる」ことが重要であるため、彼女の-2はそこまで必要というわけではなく、時折+連打から奥義で簡単に勝ててしまうこともあるが、そんな勝ち方は望むところではない。


・《屍術的召喚》

 相手の墓地も対象に取れる《死の権威、リリアナ》の2枚目として考えられなくもないが、このカードは基本的には1対1になるため、採用するのであればもっと強力なインパクトを持ったクリ―チャーの投入を検討することになるのだが、今回のコンセプトがリアニメイト特化ではないため見送り。あと1マナ払えば2体同時に釣れる《末永く》だと思えば少々浪漫にも欠ける。



・《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

 上記に関連して。

 すでにこのデッキには8枚もの5マナ以上のカードが投入されているため、そこに《ウラモグ》まで加えると手札がプレイできないカードで溢れるという事態を招きかけない。さらに言えば《ウラモグ》は唱えてなんぼだと思っている。

 


・《ムラーサの緑守り》


 当初は必投だと思っていたカード。

 ただ、実戦感として《ムラーサの緑守り》⇒ 重たいカードを拾って再キャストというアクションがテンポとして重たく、多くのゲームで軽い除去を拾うに留まるか、そこまでいけばなくても勝つことができるオーバーキルに陥っていたために外れることに。


 しかしながら、単体・シナジーの両面で素晴らしいカードなので入替えてもほとんど問題はないだろう。ドローに《発生の器》や《過去との取り組み》を用いるのであれば間違いなく必投だ(墓地から《末永く》を拾うため)。



 以上、これが私の『スゥルタイリアニメイト』だ!!


 と言いたいところなのだが・・・実はこの話にはまだ続きがある。

 そちらについてはまた次回に。

 ご覧頂きありがとう。


φ(-_@) 百人組手の人




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